妄想人格改造日記 アーカイブ

2005年11月09日

2004年09月27日

 ジョン・C・リリーがかつて行ったように、私も隔離タンクでの実験を行うことにした。

 リリーは、高知性体であるイルカと交信を行うため、水の中に球状のタンクを作り、現実の世界と一切を切り離し、ケタミンやLSDを投与し、自己の内的宇宙の探索に耽った。それを再びやろうとしているのである。

 ケタミンをご存知でない方も多いことだろう。塩酸ケタミンは外科手術を対象とする全身麻酔薬であり、現在、日本では獣麻酔薬としてのみ用いられている。78年にアメリカで刊行された『明るい世界への旅』で広く幻覚作用や乖離麻酔作用、臨死体験的作用――これについてはいずれ触れよう――が知られることとなった、あの薬品だ。

 ジョン・C・リリーは、著書『サイエンティスト』にて“ビタミンK”とこれを称している。確かに副作用は多い薬品だ。不整脈、血圧低下、急性心不全などの循環器系障害も起きることさえある。心は別の世界へと飛び立ち、暴れまわり狂人と化すことすらある。それでさえ、リリーによれば、ビタミンと称するだけの薬品なのである。

 私は隔離タンク(Isolation Tank)に入る前に、ケタミンの自己投与実験を行った。結晶を気化させ吸入し、それから約一時間、精神は肉体や現実から遊離し、別世界へと飛び立った。視野は狭まり、まるで私は死んでいるかのようであった。同じことを、これから隔離タンク内で行い、高知性体との波長のシンクロを図るのである。

 準備はすでにできている。目の前にあるものが現実とは限らないのだが。

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2005年11月12日

2004年09月28日

 思えば薬物の歴史は宗教の歴史であり、戦争の歴史でもある。  太古の昔からシャーマニズムはサイコアクティヴ・スタッフ(向精神性物質)を用いてきたし、それは神と交信するための当たり前のやり方であった。……ナチュラルサイコアクティヴについての私の実験についてはのちに譲るとしよう。  われわれ日本が作り出した、戦争に用いられた薬物。メタンフェタミン(フェニルメチルアミノプロパン)だ。ヒロポンとして市井にまで出回り、戦後は高度経済成長を裏で支えた。戦時中は工場での作業効率の向上や、軍隊での特攻隊員の恐怖心軽減などの目的で半強制的に使用されたものだ。 philopon[1][1].gif  作り出したのも東京帝國大学の長井博士である。漢方である麻黄(マオウ)からエフェドリンを単離するのに、最初に成功したのが長井博士なのだから、当然のことだ。ただし、覚醒作用が確認されたのは日本ではなかった。ドイツだ。同じ枢軸国であったドイツのナチがメタンフェタミンを手に入れ、覚醒作用を確認。かのアドルフ・ヒトラーは自らの手で静脈注射を行っていたという。  私はこれをいかに使うか考えることとしよう。

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